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福岡地方裁判所 平成2年(ワ)2366号 判決 1994年7月26日

主文

一  被告に対し、別紙二「駐車場専用使用権目録」記載の番号1、2、6ないし11、13、14、16ないし20の原告らは、

1  各自別紙二「駐車場専用使用権目録」記載の各原告に対応する「見取図表示駐車場番号」欄記載の各駐車場区画の専用使用権を有していること

2  各自右専用使用権の管理または駐車料として、平成二年七月一日以降、原告水上市幸において月額五〇〇円、その余の原告において月額七〇〇円を超えては支払義務のないこと

を確認する。

二  被告は、第一項の原告らの各駐車場区画の占有使用を妨害してはならない。

三  第一項の原告らのその余の請求及び第一項の原告らを除くその余の原告らの各請求は、いずれもこれを棄却する。

四  訴訟費用は、第一項の原告らと被告との間に生じた分は、これを三分し、その一を同原告らの連帯負担、その余は被告の負担とし、第一項の原告らを除くその余の原告らと被告との間に生じた分は、全部同原告らの連帯負担とし、補助参加により生じた費用は、これを三分し、その一を補助参加人の負担とし、その余は被告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

(請求の趣旨)

一  被告に対し、原告らは、

1 各自別紙二「駐車場専用使用権目録」記載の駐車場専用使用権を有すること

2 各自右専用使用権をその所有にかかる建物等区分所有権とともにこれと一体をなす専有部分として自由に右区分所有権を買い受ける第三者または他の区分所有者に譲渡もしくは賃貸する権利を有すること

3 各自右専用使用権の管理または駐車料として、平成二年七月一日以降、原告水上市幸は月額五〇〇円、その余の原告らは月額七〇〇円を超えては支払義務のないこと

を確認する。

二  被告は、原告らの右駐車場の占有使用を妨害してはならない。

三  訴訟費用は、被告の負担とする。

(請求の趣旨に対する答弁)

一  原告らの請求を全て棄却する。

二  訴訟費用は、原告らの負担とする。

第二  当事者の主張

(請求の原因)

一  当事者

原告らは、別紙三「物件目録」記載のシャルマンコーポ博多(以下「本件マンション」という。)の建物等の区分所有者であり、被告組合は、同マンションの管理者である。

二  専用使用権の取得の経緯

原告らは、もともと本件マンションの分譲売主である東レ・エンジニアリング株式会社(以下「訴外会社」という。)に対し、同会社との間の昭和四八年当時の土地附区分建物売買契約書第二条に従い、区分所有分の売買代金のほか、駐車場関係費として、各自別紙二「駐車場専用使用権目録」記載の金員を同会社に支払い、専用使用権を取得した者及び

伺権利の譲渡を受けた特定承継者であり(原告らの専用使用権取得の経過等の明細は、別紙四「駐車場専用使用権取得明細」記載のとおりである。)、シャルマンコーポ博多管理組合規約(以下「旧管理規約」という。同規約等の主な条項の内容は、別紙五「旧管理規約等抜粋」のとおりである。)一八条により同目録記載の駐車場を独占的に占有使用している。

三  専用使用権の性格

右専用使用権は、被告組合との使用契約によるものではなく、訴外会社との間の売買契約により発生し、取得することになった独自の用益権であり、民法上の地役権またはこれに類似の物権的利用権である。本件マンションの駐車場は、独立した形態構造をなし、原告らの利用も独立しており、原告らの専用使用権は、原告らの建物区分所有権の処分(売買、賃貸等)とともに、これにより区分所有権を取得する第三者(取得により当然に組合員となる。)、または他の組合員に対し、自由に処分し得る法律上当然の権利である。旧管理規約一八条3項、5項は、譲渡の制限と専用使用権の喪失事由を定めているが、区分所有権の譲渡を受ける者は、当然に組合員になるのであるから、右各項にいう「組合員」には、原告らから区分所有権と専用使用権の譲渡を受ける「将来組合員となる者」も含まれると解釈されるもので、現実に、原告らの専用使用権の取得後、その譲渡は、被告組合理事長の承認を得ずにされてきた。すなわち、区分所有権の譲渡とともに自由になされ、専用使用権の譲渡契約書にも駐車場対策委員長の立会の記載がされたり、されなかったりしてきたが、被告は原告らが専用使用権を有することを認め、平成二年五月まで原告らから駐車料として七〇〇円(軽自動車は五〇〇円)を徴収してきた。したがって、自由な譲渡等は慣習にもなっており、原告らは自由に専用使用権を譲渡処分することができたものである。また、区分所有権を譲り受ける者に対し、本件専用使用権もこれと一体として譲渡できることは、当然であり、管理者の承認(旧管理規約一八条3項)は、単なる形式上のものというべく、そうでないとしても、管理者の恣意によって財産権を制限、剥奪するものであり、財産権の保障を定める憲法条項に違反し、無効な定めというべきである。

原告らは、右の区分所有権と一体のものとして、自由に譲渡できる駐車場専用使用権を被告から剥奪、消滅させられ、あるいはその処分を制限されるいわれはない。

なお、原告らの右専用使用権の取得価格の四〇万円の現在価格は、年利一〇パーセント、一六年間として計算すると金二〇三万六〇〇〇円となる。

四  原告らの使用についての被告の承認等

本件専用使用権が独占的排他的な権利ではないとしても、原告らは、分譲当初から専用使用権を取得して使用しているほか、取得につき被告の承認を得て使用するに至っており、また原告山田は月額七〇〇円を子山田義建名義で支払ってきたが、被告はこれを異議なく受領してその譲渡を追認したものであり、また、原告金についても同様であり、原告らはいずれも適法な使用権を有するものである。

五  管理組合総会の開催とその決議等

しかるに、被告組合は、平成二年五月二六日、通常総会(以下「本件総会」という。)を開催して、旧管理組合規約を改正し、新しい管理組合規約(以下、改正後の規約を「新管理規約」という。同規約等の主な条項等は、別紙六「新管理組合規約等抜粋」のとおりである。)一五条(駐車場専用使用権)、一七条(使用細則)に基づき、駐車場使用細則(以下「使用細則」という。)及びシャルマンコーポ博多交通問題総合対策実施要領(以下「実施要領」という。)を定めた。

被告は、右新管理規約等により、区分所有者の駐車場使用については、「被告との間で駐車場使用契約を設定する」と定められ(同規約一五条)、使用細則等は、これを受けて駐車場の使用を規制し、「駐車場使用料は理事会が決定し」(同細則九条)、「右による専用使用権は第三者に譲渡、転貸することができず、また右理事会決定の駐車場管理使用料二か月分以上の支払を怠ったときは、駐車場使用契約を解除することができる」(実施要領三条、一九条3項)」ことになったと主張し、加えて、原告らの右専用使用権に対する管理駐車料について、スライド方式により平成二年七月分から月額四〇〇〇円、同三年から同七年まで毎年一〇〇〇円を加算した金額とし、月額一万円との差額を原告らの取得費に返済名目で充当して権利を償却するとの決定をしたとし、原告らに対し、右による支払を求めている。

六  新管理規約の効力について

しかしながら、被告による右の駐車料の改定は、新管理規約一五条等を根拠とするが、これらは新規に被告組合と駐車場使用契約を締結した者、または締結する者に適用される条項であって、原告らに対しては増額の効力を有しないから、原告らには被告主張のような支払義務はない。

七  原告らの権利の確認の利益

被告は、原告らに対し、新管理規約及び駐車料改定を理由に月額四〇〇〇円を二か月分以上支払わなければ、駐車場使用契約を解除するなどと公言し、また事実上原告らの駐車場の占有使用を妨害する危険性がある。しかも、被告は、新管理規約一五条3項で、「区分所有者がその所有する住戸部分を他の区分所有者または第三者に譲渡または貸与したときは、その区分所有者の駐車場専用使用権は消滅する。」とし、実施要領三条で「専用使用権は第三者に譲渡あるいは転貸することはできない」とし、原告らの権利を制限している。また、右スライド方式での駐車料改定で、原告らが前記分譲業者に支払った取得費四〇万円又は三〇万円を「なしくずし」的に償却して原告らの駐車場専用使用権を消滅させようとしている。

八  結び

よって、原告らは被告に対し、請求の趣旨記載の各権利を有することの確認及び駐車場使用の妨害の禁止を求める。

(請求の原因に対する答弁)

一  請求の原因一の事実は、認める。

二  同二は、別紙三「駐車場専用使用権取得明細」のうち、番号1、5ないし8、10ないし14、16、18及び20の取得の事実は認め、その余は不知。

三  同三は、原告らが平成二年五月まで駐車場使用料として月額七〇〇円(軽自動車は五〇〇円、以下「七〇〇円」で表示する。)を被告に支払ってきたこと、駐車場専用使用権が用益権としての財産権であることは認め、駐車場の専用使用権が原告主張のような内容であるとの点は否認し、その余は争う。

マンション敷地の平等使用の原則と旧管理規約の内容からすれば、本件駐車場専用使用権は、区分所有部分の売却がされるときは、他の区分所有者に対して優先的に専用使用権取得の機会を与える趣旨のものであり、現に区分所有者である者以外の第三者への譲渡は禁止されていると解されるのであって、本件専用使用権は、単に債権的利用権にすぎないというべきものである。このように同規約は、区分所有者以外の第三者への譲渡を禁じており、区分所有者の便宜のために設置され、賃借人等のマンション占有者であってもこれを認めない方針のものであり、本件マンション区分所有権の売買と専用使用権の譲渡を同時に行うことはできないものであった。したがって、区分所有権に随伴して同使用権の譲渡を受けた者は、その地位の取得を被告に対抗できないというべきである。現に、管理組合総会は、昭和六二年に、「専用使用権を自由に売買することはできず、組合員の資格を喪失すれば、自動的に権利は消滅し、管理組合が自由に他の組合員に利用させることができる」などの駐車場の運用方針を確認している。

旧管理規約に基づく駐車場専用使用権の内容は、以上のとおりであって、譲渡については、同規約一八条3項により「管理者の承認」を要することになっており、被告組合は、右規定に従い、本件専用使用権の譲渡を統制してしてきたものである。もとより、同権利が自由に譲渡されるとの慣習も存在しなかった。

なお、建設省は、分譲業者が分譲マンションの共有敷地に専用使用権を設定して分譲、使用することについては、昭和五四年にこれを事実上禁じた行政通達を発しており、さらに昭和五五年には、共有敷地上に専用使用権が設定されている場合には、重要事項としてその説明をするようにとの宅地建物取引業法等の改正がされているのであって、駐車場専用使用権の分譲は社会的にも是認できない状況にあり、本件専用使用権も賃借権類似の債権的利用権にすぎないと解されるべきものである。

四  同四は、否認する。

原告らが七〇〇円の支払をしてきたとしても、原告らが専用使用権を有することを被告が認めたものではない。

五  同五は、認める。ただし、原告ら主張のように平成五年以降の年度分の駐車料について、議案として提出したことはなく、専用使用権を償却するとの決定をしたこともない。

六  同六は、全て争う。

七  同七は、被告が原告らに対し、新管理規約により月額四〇〇〇円の駐車料の支払を求めていることは認め、その余は争う。

(抗弁)

一  本件総会において、旧管理規約は、新管理規約に変更され、これに伴い、駐車料は増額されたが、原告らは従前額の支払しかしなかったので、滞納によって平成三年二月末日までに原告らの主張する専用使用権は契約の解除により、消滅したものである。

1 本件総会の開催

(一) 本件総会における議案の内容は、事前に配付された「平成元年度第一五回通常総会資料」及び「平成元年度第一五回通常総会議事録」記載のとおりであるが、第四号議案は、「規約改正」の件であり、同規約改正案は区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による決議により可決され、即時に効力が生じた。

また、第九号議案は、「管理費・特別修繕積立金等の改正(管理費等に関する細則の制定)」の件であり、同改正案は、賛成多数(反対一一名)により承認された。原告らのうち一一名は、代理人を出席させ、右改正案に賛成の意思表示をしている。

(二) 右改正によって、普通自動車及び軽自動車の駐車料は、平成二年七月以降において、平成二年度は月額四〇〇〇円、平成三年度は月額五〇〇〇円、平成四年度は月額六〇〇〇円に改定された。なお、同総会において駐車場専用使用権を償却するとの決定はされていない。また、平成二年七月四日、被告管理組合は、駐車場専用使用権者に対し、同権利の買取条件についての通知をしたことがあるが、その買取条件は、理事会が決定したことであり、総会の決議との関連はない。

2 旧管理規約等の失効と新たな駐車料額

(一) 本件総会における管理規約の全面改正によって、旧管理規約は失効した。なお、原告ら主張の同規約三三条は、新管理規約の成立によって失効したものであり、従前の駐車料額を規定していた旧管理規約の細則も、本件総会において成立した使用細則の制定によって失効した。

(二) 月額の駐車料は、普通自動車、軽自動車について、それぞれ七〇〇円と五〇〇円から四〇〇〇円以上になったが、この改定が不当であるとはいえない。昭和四八年の本件マンションの分譲後、平成二年まで一七年間、専用使用権者は低額の駐車料で専用使用できたことにより、他の区分所有者と比較して多大の経済的利益を受けてきている。本件マンションの昭和五二年に増設の駐車場は、駐車料金月額一万円である。

3 新駐車料額の正当性

旧管理規約一八条は、駐車料の使途について、「同規約一二条に定める管理費及び五一条に定める積立金に充当する。」としているから、使途は駐車場の管理費に限定されるものではない。もともと、駐車場は共有部分である敷地の一部を組合員が専用使用するものであるから、マンション分譲業者が駐車場専用使用権を設定して分譲することが不合理であり、同契約の条項からも利用者に組合全体の管理費、積立金の一部を負担させて利用者と被利用者の公平を図るとの趣旨が窺われるのであり、したがって、駐車料は、本来、管理費に加えて右管理費、積立金についての負担金を考慮して決定されるべきものであって、組合員間の公平の見地から管理費に右負担金の金額を加えた金額を駐車料として決定することは旧管理規約においても予定されていたということができる。したがって、これらの点を考慮して決定された駐車料が不当なものでない限り、駐車場利用料金の変更についての同意しないことは、許されないものである。

4 駐車料改定手続の正当性

(一) 旧管理規約三三条2項では、駐車料改定のためには、「行使された議決権の過半数の同意が必要」とされていたが、この規定は新管理規約の全面改正によって即時に失効した。新管理規約にはかかる規定は存在せず、駐車料については、本件総会の第五号議案として可決成立した使用細則九条で「公共料金等諸般の事情を総合して理事会が決定する。」と定められているのみである。このような変更は、単に駐車料改定の手続を変更するものにすぎない。

(二) また、同規約三三条2項の求める「駐車場利用者の過半数の同意」の要件は、訴外会社から駐車場専用使用権の分譲を受けたのが四七名であるとすれば、そのうちの本件総会出席者は四〇名であり、総会において駐車料額改定の第九号議案に反対したのは一一名であるから、この反対の者が全て専用使用権者であったとしても、当初の駐車場の専用使用権者のうちの二九名は賛成していることになり、過半数を上回っているから、総会決議の効力は認められるべきものである。

(三) 新・旧管理規約を対比すれば、駐車場利用権に関する規定上、実質的に差異がある点は、使用料の額の決定方法のみであり、その他の点は旧管理規約の解釈と従前の運用をより明確にしたにすぎない。

5 原告らの駐車料滞納と解除について

被告は、旧管理規約及び実施要領にしたがい、平成三年三月一八日理事会を開き、同年二月までの駐車料滞納分を平成三年四月二二日までに支払うように催告し、支払がないときは駐車場使用契約を解除することとし、同年三月二二日に原告らに対し、その旨記載の文書を送付した。

しかし、原告らは、右支払期限の同日を経過しても駐車料滞納分を支払わなかったので駐車場使用契約は解除され、これにより原告らが有していた駐車場専用使用権は消滅した。

二  原告金は、平成三年一一月二二日、原告蒲池は同年二月二八日、原告空閑は平成四年三月三〇日それぞれ自己の区分所有建物を他に売却し、組合員の資格とともに専用使用権を喪失した。

なお、原告金は、自己の区分所有建物を別途所有しており、現に組合員ではあるが、駐車場専用使用権については、訴外島田寿から管理者の承認なく譲り受けているものであり、駐車場の使用権を有しない。

三  したがって、原告らは被告組合に対し、現在使用している駐車場の占有を引渡すとともに、契約解除の効力発生日以降、明渡済みまで駐車料相当額(月額一万円)の損害金を支払う義務がある。

(抗弁に対する答弁)

一  抗弁一の主張は争う。

1 抗弁一、1の事実中、本件総会において事前に議案が配付されたこと、被告組合が平成二年七月四日に原告らに対し、専用使用権の買取りの点について通知したことは認め、その余は否認する。

本件総会では、専用使用権の性格が昭和六二年当時と見解が変わるものではなく、「特定の組合員の利用に供することを承認された使用権」であること、管理費等は、今後研究会を作って検討していくこと、四〇万円については、何時の日か金額を変動させずに買上げを含めて検討せざるを得ないであろうことなどが確認、決定され、被告は、原告らに対し、平成二年七月四日付書面により原告らの専用使用権の買取りを通知したものであり、本件総会で四七台の当初の駐車場の専用使用権の駐車料増額について、明示の上での審議がされたことはない。

2 同一、2ないし4は、旧管理規約の条項が被告主張のとおりであることは認め、その余は争う。

(一) 新管理規約は、平成二年五月二六日の本件総会終了の翌日から発効するのであって、同日までは旧管理規約の条項により決議がされねばならない。このことは、総会で規約改正が他の議案より先に承認決議されたからといって、その瞬間から新管理規約が適用されるものではないことからして当然であり、旧管理規約の二条の廃止規定からも明らかである。

(二) 原告らは訴外会社から駐車場専用使用権を購入したのであり、その後の買取りなどによって区分所有者となった者は、原告らの専用使用権が設定されていることを承知の上で取得したのであり、増設駐車場の使用権は、原告らのような対価なく駐車場を使用するのであるから、その駐車料が高く、原告らの駐車料が低くなるのは当然であり、平等に反するものではない。現在は車社会であり、駐車場専用使用権がない区分所有権は売却が阻害されているのであり、購入を希望する者は当然に被告の組合員となるのであるから、規約上の「区分所有者」には譲渡する組合員の承継者も含まれると解するべきである。

(三) 駐車料の定め自体が旧管理規約そのものといえるのであり、これを改定するのは、旧管理規約を変更することにほかならない。

3 同5は、原告らが新管理規約に基づく駐車料の支払をしなかったことは認め、その余は否認する。

二  同二は、争う。原告金は区分所有建物を所有しており、駐車場の専用使用権を有している。

(再抗弁)

一  建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)三一条の保護について

法三一条後段は、「規約の変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響をおよぼすべきときはその承諾を受けなければならない。」と定めているが、これは多数決原理の適用例外規定として右権利者各別の承諾を得なければならないとするものであるところ、原告らの専用使用権は、右「一部の区分所有者の権利」に該当する。このことは、旧管理規約三三条が駐車料の改定について、「本条第一項(総会の決議)のほか」として「駐車場利用者の過半数の同意」を求めていることからも明らかである。そして、駐車料の増額等は、原告らの専用使用権に「特別の影響」を及ぼすものであるから、その増額には原告らの個々の同意を要するところ、新管理規約は、これらの同意も不要としている上、被告は、原告ら専用使用権者の同意を得ないまま、増額の改定をしたのであるから、新管理規約は、無効である。

二  本件総会開催手続の無効

1 原告らが本件総会の開催について、出席者や被告理事長に白紙委任をしていたとしても、経済的に自己に直接不利益となる駐車料値上げを白紙で委任することは、経験則上あり得ないことであり、また、理事長は、原告らの駐車料の支払義務者であるから、不利益となる増額決議を白紙で委任するのは、双方代理の禁止の法理に照らしても許されないところであり、仮に受任者が賛成したとしても委任者の錯誤による無効なものである。

2 総会の議案の文言にも、駐車料については、単に「普通・軽自動車四〇〇〇円、五〇〇〇円、六〇〇〇円、増設分一〇〇〇〇円」の記載があるのみであり、原告ら専用使用権者の駐車料を改定する旨の記載はなく、白紙委任をした専用使用権者らは、増額等が議案の内容となっていることを理解し得なかった。

3 原告ら専用使用権者は、特別な権利者であるから、総会決議用の委任状は、白紙委任ではなく、特別に項を設け、「専用使用権者の駐車料値上げの件、別紙資料記載」なる委任事項が明示されるべきであった。

4 右3のとおりの議案の記載は、委任者の真意に惇るもので、一種の欺もう手段による委任状の取得であり、これによる委任は、委任者に錯誤があったというべきであるから、被告主張の総会決議もこの限りにおいて無効である。

5 また、錯誤がなかったとしても、経済的に不利となる駐車料値上げを委任することはなく、白紙受任者の権利濫用によるものであり、無効である。

三  権利濫用について

1 本件マンション敷地は、組合員の共有であるが、原告らが訴外会社から原始的に取得した地役権又は類似の権利としての物権的利用権は、所有権を制限する用益権として負担付所有権(敷地権)を承継した共有者たる組合員を拘束するものである。

2 被告組合は、組合員の機関として原告らの駐車場使用の管理権を有するにすぎず、駐車料は、この管理費にすぎない。すなわち、原告らは、被告との使用契約の当事者ではなく、被告とは管理の委託関係にある。原告らは、被告から「組合との駐車場使用契約」による新管理規約による駐車使用料を支払わないからといって、契約解除を主張されるいわれはない。

3 仮にそうでないとしても、管理費としての駐車料月額七〇〇円、又は五〇〇円を現に支払ってきているのであるから、新管理規約上の「不払い」に該当せず、被告が駐車料の増額分を支払わないからとして契約解除を主張することは、信義則及び借地法一一条等の借地人の保護の精神にも反し、権利濫用であり、無効である。

(再抗弁に対する抗弁)

一  再抗弁一は、争う。

新管理規約は、原告らの権利、地位に特別な影響を及ぼすものではない。

二  同二は、原告らの一部が本件総会出席について白紙委任をしていたことは認め、その余は争う。

本件総会前に組合員や原告らに対しても議案が配付され、事前に検討の機会が与えられており、その上で原告らは白紙委任したのである上、本件総会では議案についての討議がされたのであるから、委任を受けた代理人が賛成の意思表示をすれば、無効とする理由はない。

三  同三は、原告らが駐車料として七〇〇円、五〇〇円の支払をしてきたことは認め、その余は争う。

駐車料改定が本件マンション建設から一六年目にしてはじめて行われること、原告らの駐車料は、平成二年から平成四年にかけて四〇〇〇円から六〇〇〇円と徐々に増加するものであること、管理組合が増設駐車場として賃貸している駐車料は一万円であること、専用使用権者が分譲の際に支払った対価の四〇万円等も原告らが一六年間駐車場を利用してきており、被告組合では同額の買取りの方向で原告らの意向を打診したこともあったこと、月額の駐車料が一万円とすれば、原告らの利得累積額は、一九〇万円となることからすれば、十分すぎる程の投資の回収が図られているといえることなどを考慮すると、被告の管理規約改正等が権利を濫用するものとはいえない。

(再々抗弁)

一  白紙委任をした原告らに錯誤があったとすれば、重大な過失によるから、無効の主張をすることはできないというべきである。

二  新管理規約の条項や賃料改定等が原告らの地位等に特別な影響を及ぼすとしても、もともと、組合員間には原告らの駐車料額が低いことについての不公平感があり、これを解決するためには譲渡や貸与を禁止する必要があったのであり、被告は、新管理規約のもとでも四〇万円の買取りの意思表示をしていることからしても、原告らの権利は、保護に価しないものである。したがって、原告らが規約の改正や駐車料の改定等に承諾をしないことは、正当な理由がなく、権利濫用に当たり、原告は、その権利を主張することができないものである。

(再々抗弁に対する答弁)

再々抗弁は、いずれも争う。

第三 証拠(省略)

理由

一  認定した事実

1  当事者間に争いのない事実

請求の原因事実中、原告らは本件マンションの区分所有者らであり、被告は本件マンションの管理者であること(同一の事実)、別紙四「駐車場専用使用権取得明細」のうち、番号1、5ないし8、10、14、16、18及び20のとおり、原告らが本件駐車場の専用使用権を取得したこと、原告らがこれまで駐車場使用料として月額七〇〇円(軽自動車の場合は五〇〇円)を被告に支払ってきたこと、駐車場専用使用権が用益権としての財産権であること、及び本件総会の開催と被告の新管理規約による駐車料徴収の事実(同五の事実)、抗弁事実中、組合員に対し、本件総会開催前に議案等が配付されたこと、被告組合が原告らに対し、平成二年七月四日、駐車場専用使用権の買取りについて通知し、その後、原告らに対し、新管理規約に基づく駐車料の支払の催告と解除を記載した文書を送付したこと、別紙五が旧管理規約の条項の抜粋であること、及び再抗弁事実中、原告らの一部の者は本件総会について白紙委任をしていたことは、いずれも当事者間に争いがない。

2  本件紛争の経過等については、右当事者間に争いのない事実と各証拠によれば、次の事実が認められる。

(一)  原告らの専用使用権付き区分所有建物の購入等

本件マンションは、昭和四九年末頃に建築された一一階建、総戸数約三七〇戸の大規模マンションであり、一階に一部店舗用があるものの、他はすべて居住用である。訴外会社によって本件マンションが分譲された際、オイルショック等の影響もあり、買手は少なく、設置されていた四七区画の駐車場の専用使用権についても、マンション周辺には空地も多い上、駐車料は月額一〇〇〇円程度のものであったので、その使用権の取得希望者は、ほとんど先着順で購入した。本件マンションの住戸部分は、二DKタイプから三LDKタイプまであり、当初の購入者らの使用目的も様々であり、原告らも住居用や事務所用として、あるいは賃貸用として購入したものであり、購入後はそのまま駐車場専用使用権とともに居室を賃貸する者もあった。

(甲一、九の1、2、一一の1、2、一七ないし一九、二一ないし二三、七、原告空閑、同水上)

(二)  売買契約書の内容等について

分譲当初の訴外会社と本件建物の区分所有権及び駐車場専用使用権の購入者との間の本件マンションの土地附区分建物売買契約書第二条(売買代金)では、売買代金額(二DKで約五六〇万円、三LDKで約九二〇万円、平均八五〇万円程度)の記載に付加して「但し、駐車場関係費金四〇万円也を含む。」との記載がされ(なお、軽自動車のときは駐車場関係費は三〇万円であった。以下「四〇万円」で表示する。)、専用駐車場の使用に関し、同第八条(共有持分の割合)の2項では、「甲(購入者)は、本物件(土地)のうち専用駐車場および専用の庭については、専用使用権者がその用途に従いこれを使用することを承認する。」旨が記載され、更に、同契約書末尾添付の「物件の表示」では、1項の各購入者の建物専有部分等の記載のほかに3項として、使用対象となる各駐車場の番号と面積(ただし、「所有権はありません。」の記載が付加されていた。)が記載されていた。

また、各購入者は、「旧管理規約案を原案通り承認する。」旨が記載された「シャルマンコーポ博多管理組合設立委託書ならびに管理組合加入申込書」及び東福互光建物管理株式会社(以下「東福互光」という。)を受託者とする「シャルマンコーポ博多管理委託契約書」に署名等をして訴外会社に差し入れたが、旧管理規約(案)には、五条で「旧管理規約が法二三条に定める規約である。」旨が明示され、一八条で駐車場の使用や譲渡方法等及び駐車場料金を別途に定める旨の記載がされ、更に同規約案末尾には、一八条の細則として、「シャルマンコーポ博多の管理費等に関する細則」が添付され、各専有部分の管理費額のほか、駐車料として「普通自動車用駐車場月額七〇〇円」「軽自動車用駐車場月額五〇〇円」との記載がされており、原告水上ら分譲当初に専用使用権を購入した者は、その後、使用する車の大きさに従い、駐車料等の名目でそれぞれ七〇〇円、五〇〇円(以下「七〇〇円」で表示する。)を東福互光の口座に振り込んで支払っていた。

(甲三、四、九ないし一一の各1、2、一七ないし一九、二一ないし二三、三二の1ないし13、三四の1、2、原告空閑、同水上)

(三)  その後の駐車場使用の状況等

被告組合は、その後、部外者に対する構内駐車対策のためもあって「シャルマンコーポ博多駐車対策委員会」(以下「駐車対策委員会」という。)を設置し、駐車場の管理等を任せたので、駐車場専用使用権を有する組合員が区分所有権を他の者に譲渡するときは、同委員会の承認のもとに専用使用権も他の現に組合員である者に譲渡されるようになったが、ときには組合員以外の第三者に対し、区分所有権と専用使用権をともに譲渡されることもあり、その際、譲渡人と譲受人が作成した譲渡契約証に駐車対策委員会委員長が立会人として署名捺印することもあった。また、同委員会の指示等によって、駐車区画の変更がされることもあり、同委員会は、分譲当初の取得者が駐車場関係費として四〇万円の支払をしていたことから、専用使用権の譲渡の際は、「施設負担金」名目で四〇万円を譲受人が譲渡人に支払うように指導したので、同駐車場の専用使用権を取得するときには、四〇万円の授受は当然のこととなった。また、区分所有部分を売却した者から被告が四〇万円で専用使用権を買い取り、その後同額で他の組合員に譲渡することもあったが、その際は新たな取得者は組合員の中から抽選等によって決められた。

次第に駐車場の需要が高まったので、駐車対策委員会は、昭和五二年に一四区画の駐車場を増設して組合員に使用させ、また、近くの民間の駐車場を借り上げ、更に一〇区画の駐車場を増設して組合員に使用させたが、いずれもその使用料は一万円であり、本件駐車場の駐車料と借上げ及び増設駐車場の使用料には相当の差があること(被告組合は、空いた駐車場を組合員に一万円で臨時使用させていた。)や駐車場専用使用権を有する組合員の中には、使用権を有しない他の組合員に七〇〇〇円から一万円で賃貸し、差益を得ている者もあったので、組合員らに駐車場使用方法等について不満の声が上がるようになり、本件駐車場の専用使用権や駐車料額の性格等について被告の組合内部でも議論がされるようになった。

本件マンションの一階部分は店舗用建物部分であり、駐車場はその営業のためには必須であり、駐車対策委員会の承認もなく区分所有権とともに専用使用権の譲渡がされ、そのことが被告組合に明らかでないまま、東福互光により駐車料の徴収がされることもあったが、昭和六二年には、原告金が訴外栗原潤吉の駐車場を使用していることが明らかになったため、被告組合でも何らの措置を講ぜざるを得なくなり、被告組合の理事会は、駐車対策委員会作成名義の同年二月一六日付けの「<1>組合員の資格を喪失すれば、自動的に権利は消滅し、管理組合が自由に他の組合員に利用させることができること、<2>駐車場付きの売買はできないこと、<3>駐車場専用使用権の譲渡を希望する者は、管理組合から駐車場の管理を委託されている駐車場対策委員会まで申込みをし、同委員会の立会のもとに譲渡すること」などの駐車場の運用方針を確認した書面(乙四の2)を組合員らに配付する一方、同年五月二三日の組合総会では、同書面の内容を再度明らかにして組合員らの注意を喚起するなどした。

(甲二〇、二八、三〇、三二の1ないし13、三六、乙三、四の1、2、六、七、八の1、2、九、一〇の1、2、一一の1ないし5、一二、一三の1ないし3、一四ないし一九、二一、丙一、証人〓渡)

(四)  理事会における新管理規約案の作成等

さらに、被告の昭和六三年度管理組合総会で旧管理規約改正の意見が出たため、被告は、平成元年七月から規約改正検討委員会を設け、同委員会によって駐車場問題等についてのアンケート調査等がされた上、毎月二回のペースで合計一八回にわたり、新規約案や使用細則案についての検討等がされた。理事会は、組合員に駐車場利用等をめぐって旧管理規約の改正を求める要望が強いとして本件総会で改正することとし、第四号議案(規約改正案)や第五号議案(使用細則案)、第六号議案(駐車場増設案)等を作成した上、討議のための資料を付けて本件マンション区分所有者らに一部の議案を配付するとともに開催の通知をした。

被告組合が事前に組合員らに配付した本件総会資料(乙一)には、右第四号議案について「旧管理規約を改定したもので、具体的な項目については別紙資料で説明する。」旨が記載され、右第五号議案については、「コーポ構内における駐車場利用の適正かつ効率的な運用、車両等による交通災害及び交通騒音の防止、並びにシャルマンコーポ博多管理組合が管理する駐車場及び道路等の管理、共有物の適正かつ効率的な運用をはかるために必要な事項を定めることにより、良好な住環境の確保及び共同生活を維持することを目的とする。」旨が記載されているが、同議案自体に本件駐車場の駐車料額についての明確な記載はされていなかった。また、右第六号議案については、「三号棟店舗前共有地の地盤沈下、擁壁亀裂補修が必要になったことと、先のアンケート調査で駐車場の増設希望が多かったこと、特別修繕費が今後年平均五〇〇〇万円を必要とすること等を考慮し、これらを解決するために駐車場を作りたい。このためには四〇〇万円の建設資金を特別積立金より一時流用し、この駐車料金をもって三・八年で償却し、その後の駐車料金は特別修繕費へ積み立てていくことにしたい。」との積立金特別会計予算の新設等の提案理由が記載されていたが、駐車料改定自体についての記載はなく、第九号議案の「シャルマンコーポ博多管理費に関する細則」中において、「普通・軽自動車、平成二年四〇〇〇円、平成三年五〇〇〇円、平成四年六〇〇〇円、増設駐車場については当初より一万円とする。」との記載があるのみであった。

本件マンションでは、総会前に管理組合と自治会の共同主催のもとに、各階で懇談会が開催され、管理問題が話し合われていたが、平成二年の各階懇談会では、駐車場利用料の増額案が話題になり、また、被告組合の理事長であった訴外〓渡重喜は、本件駐車場を増設駐車場と同様に扱うのが相当との考えに立って、原告らにその了承を得るべく、駐車場専用使用権者四七名に対し、「駐車料金の年次スライドについて」と題する書面(甲五)を配付し、話合いに参加するよう呼びかけたが、出席者は少なかった。

また、被告では、区分所有者のうちの本件マンション居住者は、約五五パーセントであり、規約改正のためには五分の四以上の出席を確保する必要もあって、都合で本件総会に出席できない組合員らのために白紙委任状を用意し、配付したが、同委任状(乙二二の1)には、「白紙委任状は各階担当理事に委任されたものとして取り扱います。」との記載がされていた。

(甲五、乙一、二〇、二二の1、5ないし8、10ないし20、22ないし32、34ないし36、38ないし40、証人〓渡)

(五)  本件総会の開催と原告らの対応等

本件総会の出席状況は、出席者五四名、委任状による出席者二四〇名であり、出席議決権数は規約改正に必要な五分の四を上回るものであった(なお、本件駐車場の専用使用権者四七名のうちの出席者は委任状出席者二〇名を含めて四一名であり、本件原告らのうちの出席者は、理事一任の委任状出席者八名を含めて一三名であった。)。

理事により各議案提出理由の説明がされ、質疑応答の後、第一ないし第三号議案が承認可決され、第四号議案(規約改正案)が審議され、新管理規約四九条(3)の「管理費等」に駐車料が含まれるか否かの質問等がされ、理事側は、本件駐車場の専用使用権についての考え方が旧管理規約と異なるものではない旨の説明をした。議長は、同じ構内駐車場で駐車料額に七〇〇円と一万円の分があり、差が大きすぎる旨を説明し、さらに組合員から四〇万円で専用使用権を買い取る方針で被告が動いてはどうかとの意見が出され、理事側は、当初設置の駐車場の増額分を蓄えて、これを専用使用権の買上げに使うか否かは、未定であるとの説明をした。同議案に反対の声は少なく、訴外平川において「駐車場専用使用権を持っている者については四〇〇〇円は管理費用のはずであり、増設駐車場分の一万円は使用料である。」旨の発言をしたが、採決の結果、反対は一五名にすぎず、議決権数一〇万分の八万一〇四六の賛成多数により可決された。また、第五号議案(使用細則案)は、賛成多数で可決され、第九号議案(管理費費等の改正について)も承認された。

(甲二、乙一ないし三、五、六、二二の1ないし40、証人樋〓)

(六)  その後の経過等

被告組合は、本件マンション内の居住者らに対し、管理組合の広報活動の一環として「シャルマンニュース」を配付しており、平成二年六月の第六、第七号では、本件総会で承認可決された各議案の事後報告がされているが、「管理費等改定に伴う新料金の徴収開始及びスライド駐車料金の徴収開始各七月より」との報告がされ、総会後の管理内容の変更等の説明がされた。

被告組合は、本件総会で四〇万円で本件駐車場の専用使用権を買い取るべきであるとの意見が出されたことを受け、専用使用権者らの意向を打診することとし、原告らを含む四七名に対し、被告組合理事長作成名義の平成二年七月四日付け「区分所有者で駐車場専用使用権を持っている方へ」と題する書面(甲一四)を送付し、駐車場専用使用権を被告組合で買い取る意向がある旨を伝えた。その結果、合計一二台分は被告組合で買い取ることになったが、原告らは、売却を拒否する一方、本件訴訟代理人に被告組合と交渉を委任し、従前額のままの支払を主張した。

その後、被告は、原告らに対し、駐車料として平成二年度は四〇〇〇円、平成三年度は五〇〇〇円、平成四、五年度は六〇〇〇円の請求をしたが、原告らは七〇〇円の支払を続けたので、この間、被告は、抗弁一、5のとおり、支払の催告と解除の意思表示をした。

なお、被告組合では、平成三年に駐車場一四台分を増設し、二〇名近くの希望者から抽選で利用者を決定し、利用させている。

(甲二、六の1、七の1ないし3、八の1、2、一二の1、2、一三の1、2、一四、一六の3、二四の2、二五の2、二七の2、三一の2、証人〓渡、原告空閑、同水上)

以上の事実が認められ、原告空閑本人は、第九号議案の審議について、その提案理由の説明はされたが、反対意見もあり、可決されていない旨の供述をするが、審議経過等は乙三(本件総会のテープの反訳)のとおりであり、その内容に反し、措信することができない。

二  原告らの取得した専用使用権とその法的評価等(請求の原因二、三)について

1  本件専用使用権の評価

前記一、2の一、二の本件マンション分譲業者である訴外会社と原告ら購入者間の売買契約の内容、取り交わされた管理組合申込書の内容及び契約締結の経緯に照らすと、原始組合員への分譲の際には、訴外会社と各購入者間の全員において、訴外会社が駐車場の専用使用権を設定し、これを含めた売買契約をその購入希望者らとの間で締結すること及びその専用使用権設定等の効力が旧管理規約案の内容のとおりに管理規約として生じ、その効力が本件マンション購入者全員に及ぶことになるのを承諾し、その合意がされ、分譲がされたということができる。したがって、分譲当初の四七区画の駐車場の専用使用権については、共用物の利用に即した旧管理規約の内容のとおりの効力が生じたといえるところ、原告は、同規約一八条3項が定める「譲渡を受ける組合員」には「将来組合員になろうとする者」を含むもので、原始組合員らは区分所有権とともに同駐車場の専用使用権を第三者に対して自由に譲渡できると主張し、その専用使用権設定の対価相当額と推認される四〇万円の支払をしていること及び管理費名目の毎月の支払額七〇〇円も極めて低額であることは前記一、1、2、(二)のとおりであるが、同条項は、専用使用権の譲渡について「管理者の承認を得ること」を明示している上、本来、共有物である敷地は、区分所有者らで組織される管理組合が管理するものであるから、その敷地利用の一形態である駐車場としての使用とこれに伴って設定された使用権が管理組合の関与なく譲渡されることは考え難いところである。単なる管理費であれば、滞納のときはこれを被告において徴収するにとどまるべきところ、同条5項は、「駐車料金を三か月分滞納した者や組合員の資格を喪失した者は、専用使用権を失う。」と定めているから、駐車料二か月分の滞納があってもその専用使用権を失うことになるのであり、右七〇〇円は使用料としての側面を有するといわざるを得ず、また、同項は、専用使用権が区分所有権とは別個に譲渡されることを予定しているということができる。加えて、これらの専用使用権の喪失によって新たな専用使用し得る駐車場区画ができた場合、同条6項は「2項の定めにより新たな専用使用者を定める。」とし、同条2項は「専用使用者は組合員の中から抽選により管理者が定めるものとする。」とし、特に四〇万円の納入等も求めることなく、新たに管理組合が組合員の中から決めることとしていることに照らすと、同規約は、分譲当初に四〇万円で専用使用権の譲渡を受けた原始組合員及び被告管理組合の承認のもとに譲渡を受けた者については、四〇万円が使用料の先払的性格も有することから、その優先的使用を認め、特に空いた駐車場は現に組合員である者に更に優先的に割り当てる趣旨のものであり、したがって、同条3項の「組合員」には「当該組合員から譲渡を受ける予定の者」は含まれず、「現に組合員である者」に限って組合の承認のもとに譲渡が認められているというべきである。原告は、組合の承認なく譲渡される慣行があった旨の主張をし、前記一、2、(三)及び後記2のとおり、被告の承認なく譲渡がされている場合もあるものの、本件マンションは、大規模で、管理費の徴収は管理会社である東福互光がしており、長期にわたる場合は別として、単に無断譲渡を受けた組合員が管理費名目の駐車料の振込みをしたことをもって被告組合が譲渡の承認をしたと評価することはできない。本件専用使用権の譲渡の殆どは、被告の委任を受けた駐車対策委員会の承認のもとでなされ、適宜、管理組合の指示によって場所の変更もされており、旧管理規約の内容にしたがって被告が管理してきたといえるのであり(したがって、自由な譲渡が慣習となっていたとの原告の主張は採用しない。)、前記一、2、(三)の被告理事会の昭和六二年二月一六日付書面(乙四の2)は、管理組合の承認を要することなどを再確認したもので、本件専用使用権が自由に譲渡され得るものではないことを裏付けるものということができる。

このように四七区画の駐車場の専用使用権は、区分所有者であっても駐車料金の滞納や組合員以外の第三者に区分所有権を譲渡したときは、専用使用権を失うものとして設定され、被告はその地位を訴外会社から受け継いだといえるから、原告ら原始組合員が取得した本件駐車場の専用使用権は、賃貸借類似の契約に基づく債権的使用権というべきであり、また、分譲当初の駐車場四七区画について使用権付きで区分所有権を購入し、その後、被告の承認のもとに対価相当額を支出して譲渡を受けた組合員についてのみ、その区分所有権を有する限り駐車場を使用し得る権利、地位が与えられたものと認めるのが相当である。

右のとおりであって、分譲当初の四七区画の駐車場の専用使用権付きで購入した原始組合員及びその後に被告管理組合の承認のもとに専用使用権の譲渡を受けた組合員は、旧管理規約に基づき当該駐車場区画部分を専用使用し得るところ、購入者の購入目的、用途が限定されて販売されたものではなく、組合員の区分所有部分の購入目的も様々であり(一、2、(一))、特に営業用店舗部分の購入者にとっては、駐車場は必須ともいえるのであるから、その使用は、自己使用に限定されるものではなく、区分所有部分を賃貸するときは、専用使用権もこれと一体のものとして賃貸することができるといわねばならない。

2  原告らの専用使用権の購入経過等とその権利主張の可否(抗弁二、再抗弁三)について

(一)  別紙四「駐車場専用使用権取得明細」(以下「取得明細表」という。)のうちの番号1、6ないし8、10、11、13、14、16、18及び20の原告らについては、その専用使用権の取得経過について当事者間に争いがなく、これらは原始組合員である原告らによる取得であるから、旧管理規約に基づき本件駐車場の専用使用権を有していることとなる。

(二)  また、同明細表の番号9、17、19の原告らは、甲二〇、二八、三〇、乙六によれば、同明細表のとおり、区分所有権の購入とともに専用使用権の譲渡を受けたもので、その際、いずれも駐車場対策委員会の承認を得ていること、その後は被告の定めていた駐車料七〇〇円の支払をしてきたことが認められる。

右のとおり、右原告らは、前区分所有者から区分所有権と専用使用権の譲渡を受けたのであって、旧管理規約条項に基づく取得ではないものの、被告組合の承認のもとに専用使用権の譲渡を受けたのであるから、同原告らがその専用使用権の取得、駐車場の使用を被告組合から否定される理由はないというべきである。

同明細表の番号2の原告山田は、甲一五の1、2、乙六と弁論の全趣旨によれば、昭和五〇年に組合員である訴外日豊建設から区分所有権とともに譲渡を受けたこと、その後、同原告は、子山田義建の名義で七〇〇円の支払をし、被告組合はこれを異議なく受領してきたことが認められるから、被告はその譲渡を黙示的に承認したと認めるのが相当であり、同様に専用使用権の取得を被告に主張し得るといわねばならない。

(三)  同表番号5、12の原告蒲池、同空閑は、同明細表のとおり、原始組合員として専用使用権を取得したが、乙六と証人〓渡及び弁論の全趣旨によれば、その後、他の第三者に区分所有権を譲渡していることが認められ、被告組合が専用使用権の譲渡を承認したと認めるべき証拠もないから、抗弁二は理由があり、同原告らの各請求は、その余の判断をするまでもなく理由がない。

(四)  同明細表番号3の原告金は、甲一六の1ないし3、乙六と証人〓渡によれば、同明細表のとおり、訴外島田寿から区分所有部分(店舗)の譲渡を受けたが、その売買契約書の専用使用権の売買についての部分は抹消されていること、同原告の専用使用権による駐車場使用については、前記一、2、(三)のとおり、同明細表番号4(抹消分)の駐車場区画の取得の際にも被告組合の承認を得ていないとして問題となったものの、その後同原告が七〇〇円の支払しかしないため、そのまま推移したにすぎないことが認められ、被告の承認のもとでの譲渡ではない上、その後の被告の七〇〇円の受領も被告がその譲渡を承認したと評価することはできないから、同原告は、専用使用権の取得を被告に主張することはできないというべきであり(なお、右譲渡の経緯に照らし、被告が同原告の無権限を主張することが権利を濫用するものとはいえず、この点の再抗弁三は採用することができない。)、他に同原告の請求を認めるべき証拠はない。

(五)  右のとおりであるから、(三)、(四)の原告らは、被告に対し、専用使用権を主張できる筋合いのものではなく、本件専用使用権については、右(一)、(二)の原告らについて、その債権的使用権を主張する限度で理由があるというべきであり、本件駐車場使用権は、物権的権利であって、区分所有権とともに自由に譲渡ができる旨の原告らの主張(請求の原因三)は、採用することができず、これを理由とする請求部分は、理由がない。

三  新管理規約に基づく原告らの駐車料の支払義務の有無と契約の解除(抗弁一、再抗弁一、再々抗弁二)について次に、新管理規約に基づく駐車料改定の効力が原告らに及ぶか否かについて、抗弁一(新管理規約の改正による駐車料の改定等)と再抗弁一(法三一条の承諾規定による保護)及び再々抗弁二(権利濫用)について検討する。

1  新管理規約と駐車料の改定(抗弁一)について

前記二で検討の本件専用使用権の法的性質に鑑みれば、旧管理規約の定める専用使用権は、共有物である敷地利用の一形態としての権利であって、その管理等は管理組合においてするべきものであるところ、一、2、(二)の駐車場利用希望者の増加、時代の趨勢に従い、駐車場の利用を調整し、さらに敷地を利用すべく、管理組合、区分所有者らにおいて駐車場専用使用権に関する規約部分を改正し、新たな駐車料額を定めることは、もとより許されるところというべきである。

しかるところ、必ずしも四七区画の駐車場の専用使用権の性格、譲渡方法等が組合員に周知徹底されていなかったことなどから、新管理規約改正の要望が出て、本件総会の開催に至ったものであり、一、2、(四)、(五)のとおり、本件総会で審議する各号議案については、事前に議案の概要や討議の資料等が配付され、旧管理規約二九条、三二、三三条の定める総会の議決権の定足数を充たし、各号議案は可決されたのであるから、いずれも有効に成立したということができる。

さらに、新管理規約及び駐車料額の改定の効力等の発生時期について、新管理規約の各関連条項を検討するに、新管理規約の付則には「(規約の廃止)第二条(旧)規約は平成二年五月□日に廃止し、この規約は平成二年五月□日に成立したものとする。」との条項があるものの、本件総会で廃止時期等についての明確な決議がされたと認めるべき証拠はない。また、使用細則案である第五号議案も同様に可決されたものであるが、同細則案は、駐車料額の決定について「使用料の額は、公共料金等諸般の事情を考慮して理事会が決定する。」(九条)とし、一方、新管理規約は、駐車料を含めた管理費等の額の決定は、総会の決議事項としているのであって(同規約四九条、二七条)、新管理規約及び使用細則等の関連条項を検討すれば、理事会の決定と総会の審議、決議を要すると解されるが、前記一、2、(三)ないし(六)の各議案提出等と審議、可決及びその後の経緯等によれば、事前に組合員らに配付された細則案には、平成二年七月から実施として金額も記載され、これらの増額について理事会はもとより異論があるところではなく、改定額等の記載された第九号議案は、論議を経た上で最高の議決機関である管理組合総会で可決されたのであるから、一応、新管理規約及び使用細則による駐車料改定は、効力を生じたと認めるのが相当である。

2  法三一条の保護(再抗弁一)と権利濫用(再々抗弁二)について

(一)  法三一条の保護(再抗弁一)について

法三一条は、「規約の変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾を得なければならない。」

と定めているところ、これは管理規約上の議決が多数決によるところから、少数の区分所有者の利益、組合員として特に取得した権利の保護を認めているものであり、同条項は、一部区分所有者の承諾について各組合員から個々にその承諾を得ることを求めているものと解することができる。また、右の「特別の影響」とは、当該少数の区分所有者に対し、合理的な理由もないのにその受忍すべき限度を超え、保護の趣旨を失わさせる結果となることをいうと解され、その判断は、規約の変更の理由と必要性、それによって当該区分所有者が受ける不利益とを比較衡量して決めることとなるものである。

しかして、共有敷地の利用は管理組合がすべきものであることは、前記二で判断のとおりであり、旧管理規約と新管理規約の定める駐車場専用使用権の内容(同規約一五条等)を比較、検討すると、確かに新管理規約は、旧管理規約の定める債権的使用権であることをより明確にしたものともいえるが、<1>専用使用権を購入した原始組合員は、区分所有部分の平均購入額八五〇万円程度に比較し、当時としてはかなり高額といえる四〇万円の支払をしており、少なくとも、区分所有権を有する限り、駐車場を専用使用し得ると考えていたとみられること、<2>また、原始組合員は、当初の管理費名目の七〇〇円について、四〇万円の専用使用権の設定の対価と一体のものとして経済的収支を考慮、把握していたと推認され、その後に増設された駐車場の駐車料額と区別して扱われるのは当然といえること、<3>旧管理規約三三条1項、2項(3)号は、駐車料金の変更について総会における過半数の多数による可決と駐車場利用者の過半数の同意を要することとしており、同条項は少なくとも駐車料金の定めについて法三一条の保護の具体化として厳格な手続を定めたものということができることなどを考慮すると、原告らの専用使用権は、その個別の同意、承諾なしにこれを奪うことはできないというべきである。

さらに、保護に価するか否かは新管理規約によってその権利、地位に変更を招くか否かにもよるから、特別の影響の有無の観点から検討しても、駐車料の改定は、諸物価の高騰等により避けることができないとしても、それまでの七〇〇円から四〇〇〇円の高額となるのであり、時世の変化による駐車料額、使用料の改定の域を脱しているといわざるを得ないところである。被告は、周辺の駐車料額は一万円であり、原告らの出捐した四〇万円はすでに償還済みである上、組合は同額による買取りの意思表示をしているとの主張(再抗弁に対する答弁三)をし、旧管理規約は、前記のとおり譲渡を受ける者を現に組合員である者に限定した上、その譲渡について管理組合の承認を得ることとして制限しており、新管理規約はその専用使用権の譲渡を包括して否定したにすぎないともいえるが、新管理規約一五条3項は、区分所有する住戸部分を他の区分所有者または第三者に譲渡または貸与したときは、その専用使用権を失うものとして区分所有建物の貸与の場合にまで専用使用権の喪失事由を拡張しているのであって、特に原始組合員として賃貸用に本件マンションを購入した者は、現在の賃借人が退去したときは、自ら入居して駐車場を使用するか、専用使用権の喪失を甘受して他に賃貸するかの選択を迫られることになるのであり、新管理規約の定める専用使用権は、これらの原告らにとっては極めて不利益なものであり、また、これから賃貸用として使用しようとしている者にとっても同様の選択を迫られることになるのであるから、新管理規約中の専用使用権について定める部分は、原告らに経済的損失を招来させるのみならず、共有物の管理の限度を超え、専有部分の使用、用途にまで制限を及ぼすこととなる不当なものといわざるを得ないところである。

右のとおりであって、駐車料の改定も専用使用権自体を消滅させる意図のもとにされた経緯等に照らすと、新管理規約に定める専用使用権の内容や駐車料額等により原告らの被る不利益は、これらを別異のものと評価することはできず、一体として法三一条の保護の趣旨に反し、看過し得ないものというほかはない(なお、原告らが本件総会に白紙委任状等により出席し、あるいは賛成の投票をした結果となることをもって瑕疵が治癒され、この点の承諾があったということはできない。)。

(二)  権利濫用(再々抗弁二)について

被告は、分譲業者が区分所有の対象である敷地について独自の利用権を設定すること自体が違法、不当であり、規約改正を容認しないことはその権利を濫用するものであるとの主張(請求の原因に対する答弁三、再々抗弁二)をし、確かに区分所有建物の分譲の際の駐車場専用使用権の設定と売却に関し、宅地建物取引業法三五条一項五号の二、同施行規則一六条の二第三号は、「共用部分に関して専用使用権があるときは、その内容を重要事項説明書の中で説明しなければならない」旨を規定し、分譲業者に説明を十分にするよう求め、建設省はこれを受けて、「宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律、宅地建物取引業法施行令及び地方公共団体手数料令の一部を改正する政令及び宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令の施行について」と題する通達(昭和五五年一二月一日建設省計動発第一〇五号)及び「民間分譲中高層共同住宅(分譲マンション)に係る施工管理の徹底、取引の公正の確保及び管理の適正化について」と題する通達(昭和五四年一二月一五日建設省計動発第一一六号、建設省住指発第二五七号)において、宅地建物取引業者に対し、重要事項説明書における駐車場専用使用権に関する説明の具体的な態様について専用使用をなしうるものの範囲、専用使用料の有無、専用使用料を徴収している場合にあってはその帰属先等を記載するよう求め、あるいは、各関係業界、団体に対し、「共有敷地上の専用使用権の設定に当たっては、存続期間、使用料等について公正かつ妥当なものとし、生ずる収益等は区分所有者の共有財産に帰属させる等の公正な処理を行うこと」として使用収益をめぐる紛争が生じることのないようにとの行政指導をしていることが認められ(乙三一)、また、本件マンションの組合員ら間に駐車料額の差があることに不満、不公平感があること、原告らにも委任状で理事に一任していた者があることは前記一、2、(三)、(五)のとおりであり、証人〓渡によれば、区分所有者で本件マンションに居住している者は少なく、賃貸用として使用している者にはマンション内の懸案事項の解決等についての意欲に乏しい者が多いことが認められるところである。

しかしながら、右通達等による分譲業者への指導等をもって直ちに旧管理規約の定める本件専用使用権の設定が違法ということはできない。また、原告らは前記のとおり、区分所有分とは別に四〇万円を支払っており、当初の分譲を受ける際に本件駐車場が設置されていることは、各購入者は売買契約書等により認識しながら購入し、区分所有者となったのであり、分譲業者である訴外会社は、区分所有権分と専用使用権分譲とを総合的に収支計算してマンション販売価格を決定したことが推認され、右四〇万円は、専用使用権を購入しなかった組合員の区分所有権額に反映しているともいえること、原告ら前記のとおり使用方法の変更等も余儀なくされていることを対比、考慮すると、原告らがその専用使用権について法三一条の保護を主張することがその権利を濫用するものとはいえない。

(三) 右(一)、(二)のとおりであって、再抗弁一は理由があり、また、原告らと被告組合員の相互の利益等を勘案しても原告らにおいて法三一条の保護の主張をすることがその権利を濫用するものとはいえないから、被告の再々抗弁二は、採用しない。

四 結論

よって、本訴については、別紙三「駐車場専用使用権取得明細」の番号1、2、6ないし11、13、14、16ないし20の原告らの請求中、本件専用使用権が債権的権利であって、同原告らが各駐車場区画の専用使用権を有し、七〇〇円(軽自動車については五〇〇円)を超える支払義務のないことの確認及び駐車場使用の妨害の禁止を求める限度で理由があるから、この限度で認容することとし、その余の請求部分及び右を除く原告らの請求は、いずれも理由がないからこれらを棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条、九二ないし九四条を適用して主文のとおり判決する。

別紙一は当事者目録につき省略。

(別紙二)

駐車場専用使用権目録

(福岡市博多区千代5丁目9番所在 シャルマンコーポ博多)

<省略>

(註)駐車場1個の面積平均8m219

各駐場の位置は本別紙添付の「駐車場配置見取図」のとおり

<省略>

(別紙三)

物件目録

一、建物の表示

所在 福岡市博多区千代五丁目九番地弐

建物の番号 シャルマンコーポ博多

構造 鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根壱壱階建

床面積 一階 弐四九五m2弐七

二階 弐五四四m2六九

三階 弐五四四m2六九

四階 弐五四四m2六九

五階 弐五四四m2六九

六階 弐五四四m2六九

七階 弐五四四m2六九

八階 弐五四四m2六九

九階 弐五四四m2六九

壱〇階 弐五四四m2六九

壱壱階 弐壱九七m2四九

二、敷地権の目的たる土地の表示

福岡市博多区千代五丁目九番弐

宅地 六弐四参m2五四

(別紙四)

駐車場専用使用権取得明細

(福岡市博多区千代5丁目9番所在 シャルマンコーポ博多)

<省略>

(別紙五)旧管理規約等抜粋

第1章 総則

第5条 (規約の効力)

本管理組合規約は法律第23条に定める規約とする。

第7条 (管理共有物の範囲)

組合が管理する共有物(以下管理共有物という)とは全組合員(全区分所有者)がそれぞれの有する専有部分の床面積の割合によって共有する次の各号に掲げるものとする。

(1) 敷地(植樹、植栽物を含む)

(2) 建物

玄関ホール、管理人室、電気室、エレベーター室、各階廊下、階段・屋上・外壁・内壁・塔屋等建物部分の内、法律および不動産登記法所定の専有部分以外の建物共用部分全般

(3) 建物内部共用設備

エレベーター設備、電気設備、電話配管、給排水衛生設備、防火設備、ガス配管設備、集合TVアンテナ等の内専有部分内に設置されたものを除いた諸設備全般

(4) 建物外部共用設備

屋外の電気、水道、ガス等の引込栓、電話引込施設、排水施設等共用の附属設備全般および駐車施設

第8条 (管理共有物の持分)

第7条所定の管理共有物は区分所有者全員の共有に属するものとし各区分所有者の共有持分は建物の専有部分の総床面積に対して、それぞれが有する専有床面積の割合によるものとする。

第2章 組合の業務

第9条 (組合の業務)

組合は第2条の目的を達成するために次の各号に掲げる業務を行なう。

(1) 管理共有物の管理運営に関すること。

(2) 管理共有物の処分又は変更に関すること。

(3) 管理費の賦課徴収保管ならびに経費の支出に関すること。

(4) 前各号の他総会において決議された業務および本管理組合規約に定められた諸制限の管理

第10条 (管理共有物の管理運営に関する業務の範囲)

前条第1号に定める管理共有物の管理運営に関する業務の範囲は次の各号に掲げるところによる。

(1) 管理共有物の清掃、手入れ、消毒、点検、調整その他管理共有物の日常の維持運営に関する業務

(2) 管理共有物の修理、保全、又は取替えに関する業務

(3) 管理共有物の使用に係る許認可に関する業務

(4) 管理共有物に対する損害保険の付保

第11条 (管理共有物の処分又は変更に関する業務の範囲)

第9条第2号に定める管理共有物の処分又は変更に関する業務の範囲は次の各号に掲げるところによる。

(1) 管理共有物の売却又は廃棄に関する業務

(2) 管理共有物の新設、改造又は除却に関する業務

第12条 (管理費)

第9条第3号に定める管理費は次のとおり取扱う。

(1) 組合員は毎月末日迄に翌月分の管理費を管理者の指定する者(以下指定代理人という)に支払わなければならない。

(2) 組合員が管理費を滞納した場合は損害金として日歩5銭の割合により延滞金を組合に支払うものとする。

(3) 管理費の使途は次のとおり定める。

イ、管理共用物の運転、維持、保全管理に伴う電気料金、水道料金その他の料金

ロ、管理共用物の保守点検料

ハ、管理共有物の維持管理費

ニ、管理共用物の清掃費

ホ、町内会費用の負担

ヘ、塵芥処理費

ト、各関係庁および町内会その他の渉外業務の一般経費

チ、既存の自治会への協力費(管理組合設立後現在の自治会に包含されると否とを問わず将来に亘る)

リ、管理事務所運営経費(電気、ガス、水道、電話料金等)

ヌ、事務経費、諸会議費および交際費等

ル、その他共用部分に関する一切の費用

(4) 管理費が不足する場合、その不足額は組合員が共同で負担支払わなければならない。

(5) 組合員は組合員の資格を失った場合において既に納付した管理費等の払戻しを請求することができない。

第3章 規約

第18条 (駐車場の使用)

駐車場は専用使用者のみこれを駐車場として使用できるものとし他の組合員はこれについて異議を云わないものとする。

但し、専用使用者といえども普通乗用車、乗用貨物車以外の車輌は駐車できないものとし、外国製大型乗用車など他に迷惑を及ぼす車輌については制限することがあり、かつ駐車場に日覆その他工作物を構築する等、駐車場の現状を変更することはできないものとする。

2.駐車場の専用使用者は組合員の中から抽選により管理者が定めるものとする。

3.駐車場専用使用者は予め管理者の承認を得たうえ、組合員に対してのみその専用使用の権利を譲渡できるものとする。

4.駐車場専用使用者は別に定める駐車料金を第12条第1号に準じ管理組合に支払うものとし、当該駐車料金は第12条に定める管理費および第51条に定める積立金に充当する。

5.駐車料金を3ケ月分滞納した者、又は組合員の資格を喪失した者はその専用使用にかかる権利を失ない組合に当該駐車場を明渡さなければならない。

6.前項の場合、管理者は第2項の定めにより前項の駐車場につき新たに専用使用者を定める。

7.第3項又は前項により新たに専用使用者となった者は本規約の定めに従わなければならない。

第21条 (使用細則の遵守)

組合員は管理共有物維持管理の必要上定められた「使用細則」を遵守しなければならない。

2.組合が同じ目的により注意事項を定めて通知又は掲示したときもこれに準ずる。

第23条 (組合員以外の占有者への適用)

本章規約所定の各条は組合員が入居せしめている占有者、賃借人にも適用するものとする。この場合当該占有者、賃借人への本章規約の遵守義務は当該組合員が負うものとする。

第4章 組合の運営

第1節 総会

第29条 (総会の議決権)

組合員の総会における議決権は第8条所定の持分の割合によるものとする。

2.組合員は予め組合から通知のあった議事について、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。

3.代理人が議決権を行使する際には、代理権を証する書面を組合に提出しなければならない。

第32条 (決議事項)

次の各号に掲げる事項は総会の決議を得なければならない。

(1) 管理組合規約の設定、変更、又は廃止

(2) 役員の選任又は解任

(3) 役員の報酬の決定又は変更

(4) 管理費、専用庭の専用料および駐車場の使用料の変更又は賦課の方法の変更

(5) 毎年度の収支予算および事業計画の決定又は変更

(6) 組合の運営又は業務執行に係る基本的な方針の決定又は変更

(7) 管理共有物の処分又は変更に係る方針の決定

(8) その他組合員の共同利益に係る基本的な事項

第33条 (議決の方法)

総会の議事は、第2項に掲げる場合を除いて行使された議決権の過半数によりこれを決める。

2.総会の議事のうち次の各号に揚げるものの議決の方法は当該各号の定めるところによる。

(1) 管理組合規約の設定、変更又は廃止は組合の議決権の5分の4以上の多数により決する。

(2) 管理共有物の処分又は変更に係る方針の決定は、組合員全員の合意による。但し、管理共有物の改良を目的とし、かつ著しく多額の費用を要しない管理共有物の変更は、組合の議決権の4分の3以上の多数により決する。

(3) 駐車料金および専用庭の専用料の変更は本条第1項によるほか、駐車場利用者および専用庭の専用使用者の過半数の同意により決する。

シャルマンコーポ博多管理費等に関する細則

本細則は管理組合規約に基づく管理費、駐車料金等について、次のとおり定める。

1.管理費

<省略>

店舗 専有面積1m2当り 月額 100円

2.駐車料

普通自動車用駐車場 月額 700円

軽自動車用駐車場 月額 500円

3.専用庭専用料 庭面積1m2当り 月額 10円

(別紙六)新管理規約等抜粋

第1章 総則

(定義)

第2条 この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 区分所有権 建物の区分所有等に関する法津(以下「区分所有法」という)第2条第1項の区分所有権をいう。

(2) 区分所有者 区分所有法第2条第2項の区分所有者をいう。

(3) 占有者 区分所有法第6条第3項の占有者をいう。

(4) 専有部分 区分所有法第2条第3項の専有部分をいう。

(5) 共用部分 区分所有法第2条第4項の共用部分をいう。

(6) 敷地 区分所有法第2条第5項の建物の敷地をいう。

(7) 共用部分等 共用部分及び付属施設をいう。

(8) 専用使用権 敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利をいう。

(9) 専用使用部分 専用使用権の対象となっている敷地及び共用部分等の部分をいう。

第4章 用法

(駐車場専用使用権)

第15条 区分所有者は、駐車場について、管理組合が特定の区分所有者に対し駐車場使用契約により専用使用権を設定することを承認する。

2  駐車場について専用使用権を有している者は、別に定めるところにより、管理組合に専用使用料を納入しなければならない。

3  区分所有者がその所有する住戸部分を、他の区分所有者または第三者に譲渡または貸与したときは、その区分所有者の駐車場の専用使用権は消滅する。

4  前項にかかわらず、当該譲渡または貸与の相手方が同居人であるときは、当該駐車場を専用使用することができる。

5  第3項にかかわらず、当該貸与の期間が、1年未満であるときは、当該駐車場の専用使用権は消滅しない。ただし、管理組合は、当該期間中、他の区分所有者に当該駐車場を使用させることができる。

(使用細則)

第17条 対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとする。

第5章 管理

第2節 用の負担

(管理費等)

第27条 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という)を事由の如何を問わず、管理組合に納入しなければならない。ただし、占有者は管理費等の納入について区分所有者と連帯責任を負う。

(1) 管理費

(2) 特別修繕費(修繕積立金)

(3) 専用使用料

(4) 水道使用料

(5) その他管理運営上必要な経費

(管理費)

第29条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。

(1) 公租公課

(2) 共用設備の保守維持費及び運転費

(3) 備品費、通信費その他の事務費

(4) 共用部分等に係わる火災保険その他の損害保険料

(5) 経常的な補修費

(6) 清掃費、消毒及び塵芥処理費(ゴミ処理は事務所及び店舗営業に伴うものなどの特殊なものは含まない)

(7) 管理委託費

(8) 自治会運営に関する費用

(9) 役員報酬及び活動費

(10) 訴訟費用及び弁護士費用

(11) 敷地及び共用部分等の通常の管理に要する費用

(12) そのほか管理組合の運営に要する費用

(使用料)

第31条 専用使用料その他敷地及び共用部分等にかかる使用料は、それらの管理に要する費用に充てるほか、第29条から第30条に定める経費に充当する。

第6章 管理組合

第4節 総会

(総会の会議及び議事)

第48条 総会の会議は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。

2  総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決し、可否同数の場合においては議長の決するところによる。

3  次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、議決権総数の4分の3以上で決する。

(1) 規約の変更

(2) 敷地及び共用部分等の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く)または処分

(3) 区分所有法第58条第1項、第59条第1項または第60条第1項の訴えの提起。

(4) 建物の価格の2分の1をえる部分が失した場合の失した共用部分の復旧

(5) その他総会において本項の方法により決議することとした事項

4  区分所有法第62条第1項の建て替え決議は、第2項にかかわらず、議決権総数の5分の4以上で行う。

5  前4項の場合において、書面または代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。

6  第3項第1号において、規約の変更が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。

7  第3項第2号において、敷地及び共用部分等の変更または処分が、専用部分または専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その専用部分を所有する組合員またはその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合において、その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。

8  第3項第3号に掲げる事項の決議を行うには、あらかじめ当該組合員または占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。

9  総会においては、第44条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ決議することができる。

(議決事項)

第49条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。

(1) 収支決算及び事業報告

(2) 収支予算及び事業計画

(3) 管理費等の額並びに賦課徴収方法

(4) 規約の変更及び使用細則の制定または変更

(5) 第30条第2項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取り崩し

(6) 区分所有法第57条第2項及び前条第3項第3号の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任

(7) 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧

(8) 区分所有法第62条第1項の場合の建て替え

(9) 役員の選任並びに解任

(10) 役員報酬の額

(11) 総合的に委託する管理会社の選任並びに解約

(12) その他管理組合の業務に関する重要事項

第5節 理事会

(議決事項)

第55条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議することができる。

(1) 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案

(2) 規約の変更及び使用細則の制定または変更に関する案

(3) そのほかの総会提出議案

(4) 第67条に定める勧告または指示等

(5) 総会から付託された事項

(6) 長期修繕計案及び長期修繕予算案の作成

(7) 組合運営上必要と考えられる書式等の作成と実施

(8) 組合運営上必要な備品等購入の決定

(9) 工事契約等の決定

(10) 管理委託業務の変更及び発注金額の変更

(11) 専有部分の貸与及び譲渡申請の審査

(12) 前項で信用調査が必要と認められる場合の実施

(13) 専有部分改装工事申請の審査

(14) 管理費等の剰余金、修繕積立金の共同の利益を目的とする資金運用の決定

(15) 敷地及び共用部分等(専用使用部分を除く)の一部を共同の利益に反しない限り、短期間において第三者に使用させること。

第7章 会計

(管理組合の収入及び支出)

第58条 管理組合の会計における収入は、第27条に定める管理費等及び第31条に定める使用料等によるものとし、その支出は第29条から第30条に定めるところの諸費用に充当する。

第8章 補則

(義務違反者等に対する措置)

第66条 区分所有者または占有者が、建物の保存に有害な行為その他建物の管理または使用に関し、区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合またはその行為をする恐れがある場合には、区分所有法第57条から第60条までの規定に基づき必要な措置をとることができる。

2  組合員が管理費等を2ケ月以上滞納した場合は、組合により14日以上の期間を定めて支払いを催促し、なおかつその支払いがないときは、組合において当該組合員に対し氏名掲示、水道の供給停止の措置をとることができる。

3  義務を怠る組合員は前2項の措置を受けても、異議を申し立てることはできない。

4  駐車契約を有する場合、1及び2項の適用措置を受けると同時に本契約は解除とする。

5  区分所有権の長期放棄部分については、玄関錠前を交換し、管理組合がその住戸を管理する。

6  空室は給水停止の処置等を行い、開栓については管理者が組合員より指定の届出を得て行う。

付則

(規約の廃止)

第2条 (旧)規約は平成2年5月 日に廃止し、この規約は平成2年5月 日に成立したものとする。

別表第2

共用部分の範囲

1.敷地、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター機械室、内外壁、界壁、基礎部分、塵芥集積場、ベランダ、塔屋、屋上など専有部分に属さない「建物の部分」

別表第3

専用使用部分の表示(規約共有部分等を含む)

専用使用部分区分 ベランダ 玄関扉窓枠窓ガラス 駐車場 専用庭 管理事務所集会室会議室

場所位置 各戸の専有部分に接するベランダ 各戸に付属する玄関、扉、窓枠、窓ガラス 図面集のとおり 1階各戸に接する庭 図面集のとおり

専用使用をなしうる者 付属する専有部分の区分所有者及び占有者 左同 駐車場使用細則の定めによる 付属する専有部分の区分所有者及び占有者 管理者またはその指定する者及び使用細則による

期間 区分所有権及び占有存続期間中 左同 駐車場使用細則による 区分所有権及び占有存続期間中 区分建物存続中及び管理受託存続中のほか使用細則による

使用の対価 無償 無償 駐車場使用細則による 総会の定めによる 無償

制限 構造・用途・色調の変更並びに構築物の構築禁止 左同 左同 左同 左同

日常の維持管理責任者 当該区分所有者及び占有者 左同 駐車場使用細則による 当該区分所有者及び占有者 管理者またはその指定する者及び使用細則による

費用の負担をする者 管理組合 当該区分所有者及び占有者 管理組合 当該区分所有者及び占有者 管理組合

*但し、ベランダ、管理事務所、集会室、駐車場の費用負担は、故意または過失による場合はその行為者が負担するものとする。

シャルマンコーポ博多 駐車場使用細則

平成2年 月 日制定

(総則)

第1条 シャルマンコーポ博多管理組合(以下「組合」という)は、規約第15条の規定により本コーポ内の駐車場の円滑な利用を目的として、規約第17条に基づき本細則を定める。

(使用資格者及び使用台数並びに車種の制限)

第2条 駐車場の使用資格者は、組合員及びその家族に限られるものとし、使用台数は原則として1戸1台、使用できる車両は乗用車及び貨物兼用乗用車(ライトバン)に限る。

(使用の申込)

第3条 有料駐車場の使用を希望する者は、書面に必要事項を記載のうえ理事長に提出する。

2 前項の規定にかかわらず、既に提出した「駐車場使用契約書」は有効とする。

(申込の審査と決定)

第4条 組合は、前条第1項の使用申込を受けたときは理事会においてその適否を決定する。

(使用契約)

第5条 組合は、前条により駐車場の使用者を決定したときは、当該使用者と別に定める「駐車場使用契約」を締結する。

(解約届)

第6条 駐車場使用の解約を希望する場合は、その旨を書面により理事長に提出する。

(駐車場利用証明)

第7条 組合は、駐車場使用契約を締結した者に対し「自動車の保管場所確保等に関する法律」に基づき、自動車の保管場所確保の証明書を発行する必要が生じたときは当該証明書を発行する。

2 前項の証明書を発行する際は、駐車場使用契約者は駐車場使用料1か年分を前払いすることとする。ただし、契約後1か年以内に解約した場合は残額を返還しない。

(使用料の額の決定)

第9条 使用料の額は、公共料金等諸般の事情を考慮して理事会が決定する。

(契約内容の決定及び変更)

第11条 本細則に定める駐車場使用契約の内容は、理事会が決定しまた変更する。

(業務委託の範囲)

第12条 本細則に基づく業務の委託範囲は、駐車場の運営に付帯する事務並びに使用料の徴収及び保管とする。

(使用料の処理)

第13条 駐車場使用料は、規約第31条に基づき特別修繕積立金に充当する。

(施行)

第14条 本細則は、平成2年 月 日から施行する。

シャルマンコーポ博多構内における

交通問題総合対策実施要領

第1章 総則

(駐輪、駐車場の専用使用)

第3条 駐輪、駐車場は、この要領に定める手続きに従って組合員が有償で専用使用できる。なお、この専用使用権は第三者に譲渡あるいは転貸することはできない。

(細則第2条)

(理事会の決定事項)

第4条 この要領に基づく駐車場等の使用資格審査、使用料の額及びその徴収方法、駐車区画の位置並びに諸様式等具体的実施に関する事項は、理事会が決定する。

(細則第4、9条)

(実施要領の改廃)

第5条 この要領の変更又は廃止は、総会の決議により決定する。

(契約締結者及び使用資格者)

第6条 組合は、駐車場等の使用者及び使用する駐車区画が決定しその使用を認めたときは、当該組合員と「駐車場使用契約」を締結する。

2 駐車場の使用資格者は、コーポ内に居住しかつ、前項の使用契約を締結した組合員(以下「契約者」という)及び原則として契約者の二親等内の親族に限る。

(細則第2、5、11条)

(駐車場使用の手続き)

第10条 駐車場の使用を希望する組合員等は、次の手続きをとり使用する。

(細則第3、4、5条)

一 駐車場の使用を希望する組合員は、「駐車場仮申込書(順位登録)」を理事長に提出し組合は「駐車場申込登録簿」に申込受付順に登録する。

二 第9条に定める留保措置中の駐車場の暫定使用が可能になったとき、前号の申込者は登録順に「駐車場暫定使用承認申請書」を理事長に提出する。

三 前号の申請書が提出されたとき、組合は理事会において適否を決定し申請者に通知する。

四 組合は、前号により使用を認めるとき駐車場区画の変更について無条件で組合の指示に従うことを条件に「暫定使用承認書」を申請者に交付する。

五 組合は、駐車区画に空が生じたとき、登録されていた順に暫定使用中の組合員と「駐車場使用契約」を締結する。

六 契約期間は1年とする。ただし契約満了の日の1か月前までに、組合、契約者のいずれかより書面による解約の申出がなかった場合、契約は自動的に1年間更新されたものとし以後についても同様とする。

(使用料の額及びその徴収方法)

第13条 使用料の額及びその徴収方法は、諸般の事情を考慮して理事会が決定する。

(細則第9条)

(契約の解除)

第19条 契約者が、区分所有権の譲渡等によって組合員の資格を失ったとき、または第6条第2項の規定による使用資格者がすべて当コーポから退去したときは、駐車場使用契約はその日をもって自動的に消滅し契約者は直ちに当該駐車場を明け渡さねばならない。

2 前項の規定にかかわらず、使用者が組合員の資格を有している場合は第8条の規定により留保措置の適用を受けることができる。

3 契約者が次の各号のひとつに該当したとき、組合は契約者に対し文書により通知または催告を行い、1か月後に本契約を解除することができる。

一 2か月以上管理費等の支払いを怠ったとき

二 駐車場の使用手続きに際して虚偽又は不正の事実があったとき

三 第18条第1項の規定による勧告を受けたとき

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